ロマンス詐欺(Romance Fraud/ロマンス・フロゥド)にあったとき
(更新日ː 2024年8月20日)
The UKでも、ロマンス詐欺の被害が増えています。
被害者は、犯罪の被害者で、全く悪くありません。
犯罪は、組織化された犯罪であることが多く、非常に巧妙で、誰が騙されてもおかしくありません。
繰り返しますが、これは犯罪で、加害者が100パーセント悪く、被害者が自分が注意していれば、と恥ずかしく思う必要はありません。恥ずかしいことをしているのは、詐欺の加害者です。
自宅近くで強盗にあったとき、被害者を責める人はまずいないのに、詐欺や性被害だと、全く悪くない被害者を責める間違った風潮やバイアスには注意しておく必要があります。
2024年10月7日から、The UK(イギリス、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)ではほとんどの銀行では、このロマン詐欺の被害者に、mandatory(マンデトリー/義務・強制)で詐欺にあって取られたお金を被害者に支払う必要があります。
現在のところは、Voluntary(ヴォランタリー/任意)で、規約にサインアップしている銀行だと、相談するとお金が返ってくる可能性もあります。
なぜなら、銀行はロマンス詐欺という「犯罪」の手口をよく知っており、そういった犯罪から、顧客を守る義務(Due diligence/デュー・ディリジェンス)があるからです。
この規約にサインアップしていない銀行の場合でも、Financial Ombudsman Service(ファイナンシャル・オンブズマン・サーヴィス)に訴えることも可能です。
BBC Radio4でも紹介していましたが、Catch the Catfishという、ロマンス詐欺へのアドヴァイスに特化した団体もあります。
BBC Radio4で今日(2024年8月20日)、紹介されていたお話は、普通のイギリス人女性、Kirstin(カースティン)さんがロマンス詐欺にあった話です。
ここから聴けます。
カースティンさんは、ほかの人々が同じ被害にあわないことを願って、つらい気持ちをかかえながらも、勇気を出して体験を語ってくれました。
カースティンさんは、とても高圧的でカースティンさんを馬鹿にする夫と離婚したばかりでした。
友達から、Dating app(デート・サイト)に登録したら、といわれ、登録してみました。
その中に、カースティンさんとユーモア・センスもあい、話の合う男性と出会いました。
直接顔をみて話すことはなかったものの、仕事のお昼休みや、夕食の後等に、楽しく会話をしていたそうです。
カースティンさんには4人の子供もいて、仕事をしながら子供を育て、彼女は忙しい普通のお母さんです。
ある日、事故にあって病院にいて、ビジネスで支払いをしなくてはいけないけれど、オンラインでの銀行へのアクセスができないので、カースティンさんに銀行詳細をいうので、お金をトランスファーしてほしいと頼まれます。
カースティンさんは、もともと親切で優しい性質なので、言われたとおりにトランスファーを行い、とても感謝されます。
ちなみに、この銀行のサイトは、騙した男性(国際犯罪グループの可能性が大きい)の銀行口座という設定だったのですが、存在しない偽の銀行サイトですが、ファイナンスの専門家にも、見破ることが難しいほどとても巧妙につくられたものだったそうです。
何度か繰り返して信用を得た後、お金のトランスファーに時間がかかっているとき、カースティンさんにページをバックするよう頼みます。そこで、銀行のアカウントが凍結されたとの表示が出ました。
それを伝えると、男性は人が変ったように怒り出し、カースティンさんの元夫が彼女によく言っていた罵詈雑言と同じことを言いだし、彼女はパニックに陥ります。(専門家によると、カースティンさんとの会話からさまざまなことを前もって聞き出して、どういえば彼女がパニックに陥り、操作しやすくなるかを企んでいた)
しばらくすると、男性は落ち着いて、悪いことを言ったことを謝り、カースティンさんに彼の友達の銀行口座に病院の治療費や必要な費用を払い込んでくれないかと頼みます。
金額は、大きいものではなく、また、カースティンさんは、彼の銀行口座に十分な貯金があったのも見ています。
最終的にカースティンさんが支払った金額は、80,000パウンズ(1500万円)で、そのうち50,000パウンズは両親や姉妹といった親族から借りたものだそうです。
カースティンさんはパニックに陥っていたので、男性のオンライン銀行サイトにログインし、自分の銀行口座への送金を試みたのですが、このときに自分の銀行口座の詳細を入力したため、別の詐欺にもあいそうになりました。
アドヴァイスは、騙されたと気づいたらすぐに警察と銀行に連絡することで、騙した相手の銀行サイトに自分の銀行口座の詳細や、ID等の情報を入力したり、渡さないことは大切です。
加害者は、巧みに被害者の心理操作を行い、どこまでもお金をむしりとろうと試みます。
この番組に登場していた警察やファイナンスの専門家も、カースティンさんにとても共感的で、犯罪の責任は加害者・加害グループにあり、お金だけでなく、気持ちも裏切られたカースティンさんのつらい気持ちに寄り添っていました。