(更新日ː 2024年12月17日)
雇用主は、危険性の評価をきちんと行い、危険性を大幅に減らす・なくす努力が義務付けられています。
これには、雇用主は(どんな)ハラスメントも絶対に許さないという文化をつくり、誰もがハラスメントに対して声をあげることに安心感を感じ、もしハラスメントに対して声を上げたときに、被害者は、雇用主が自分をサポートし、ハラスメントは公平に素早く扱われることを信じられる環境にすることを指しています。
トレーニングや危険性の評価、対ハラスメントの決まり等については、定期的な見直しが必要とされています。
今回の適用では、特にサード・パーティーからのハラスメントを防ぐことも雇用主の法律的な義務とされていることが大きな変化です。
このサード・パーティーには、クライエントや顧客(お店等にくる客も含む)、サプライヤー等の直接雇用されていない人々で、場所も、職場の飲み会や忘年会、顧客とのミーティング・接待といった直接の職場ではないけれど仕事の延長とみなされる場所、直接の勤務時間ではないけれど顧客との接待とのために訪れたレストラン等で起こるハラスメントも含まれます。
日本だと営業職や営業の要素を含む仕事でセクシャルハラスメントの被害にあうケースも多いようですが、イギリスやヨーロッパでは、あくまでも製品やサービスが自企業にどう役にたつかを基準としており、日本のように「ひとの要素(=製品やサービスよりも、営業にきたひとが、よくプレゼントをくれる・愛想がよくて飲み会をよく開いてくれる等で選ぶ)」は、ほぼないか少ないので、勤務時間が終わった後に飲み会での接待はほぼないと思っていいとは思います。
それでも、雇用者を守る決まりがあることは、雇用者にとって安全な環境となるでしょう。
イギリスでも、日系企業の日本人が、日本人だから、日本国内での方式に従うよう言ってくるかもしれませんが、日系企業だろうとどの国の企業だろうと、イギリスでビジネスを行っている限り、イギリスの法律が適用されることを指摘するか、少なくとも、自分の心の内では認識していましょう。
今回の適用で、雇用主がハラスメントを防ぐ対応をきちんと取らないことで、ハラスメントが起こった場合の経済的な罰金は大きくなります。
また、会社の評判にも大きく響きます。
会社の文化は、上層部に配置されている人たちの言動が大きく影響するものであり、決まりを明確にし、実行・施行するだけでなく、上層部に配置されている人々は、自分たちの言動の一つ一つがよい手本となることを目指すことをすすめている法律事務所もありました。
会社の文化は、決まりも大切ですが、ひとびとの言動、特に上層部に配置された人々の言動が大部分を占めていることを認識しておくことは大切です。
また、いくら法律や決まりがあっても、それが破られたときに、誰も報告しなければ何も起こりません。
セクシャルハラスメントの被害者が、復讐や嫌がらせを恐れることなく会社の規定に沿った担当者・担当部署に申し出られるのが一番ですが、難しい場合もまだあるかもしれません。
被害者が訴え出ることを可能にするのは、目撃者が黙って見ないふりをするのではなく、加害者の言動にチャレンジする環境です。
加害者の言動にチャレンジする際は、加害者のBeingではなく、加害者のDoingに対してチャレンジしているのであり、その言動は会社にいる人々全員にとって害のあるものだということを伝えられればベストでしょう。
それが難しいと感じるようであれば、少なくとも被害者に大丈夫かどうかをたずねましょう。
目撃者は、できれば目撃したことを「いつ、誰が、どこで、何をしたか、ほかに証人・目撃者はいるか」を記録しておきましょう。
一つ一つは大したことがないように見えても、パターンがあれば、十分証拠となります。
これは、被害者にもいえることです。
今回の法律の適用で、被害を報告することは、会社のためでもある(=法律上の大きな罰金や悪評を防ぐことになる)ので、より多くの人々が被害を報告しやすくなると見られています。
どんなハラスメントも起こるべきではないとはいえ、加害は加害者が選択するものであり、被害者には被害にあわない選択はありません。
どの国や地域でも、ハイラルキーが強い場所では、セクシャルハラスメントはおきやすいことは証明されています。
セクシャルハラスメントは、往々にして、権力の濫用であることも頭の隅においておきましょう。
そのため、加害者が女性であり被害者が男性の場合も十分ありえます。
加害を受けた場合に、どのような手続きに沿って訴えを行うのか、加害を受けることがないと信じていたとしても調べておきましょう。自分は加害にあわなくても、同僚や周りの人々を助けることにつながるかもしれません。