2024年4月6日から、イギリスでの働くことに関する規則がいくつか変わります。
どれも、以前よりよくなるものです。
ちなみに、4月6日というのは、毎年Tax Year(タックス・イヤー/税年度)が新たに始まる日です。
そのうちの一つのFlexible Working Hours(フレキシブル・ワーキング・アワーズ)について。
資料は、CIPD(the Chartered Institute of Personnel and Developmen)のサイトのここから確認できます。
このCIPDは、The UK(イギリス、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの連合4か国) の人事セクターのプロフェッショナル組織で、世界で約15万人のメンバーがいるとされています。
もし、あなたがイギリス人事で働きたいと思っているなら、資格もたくさんあるので、一度ウェブサイトをじっくりと読むのもいいと思います。
Flexible Working Hours(フレキシブル・ワーキング・アワーズ)は、今回の変更があるまでは、働き始めて数か月しないとリクエストできなかったり、雇用者は説明なしで断ったりできたのですが、今回の変更で、働き始めた初日からリクエストでき、12か月で2回リクエストができ、リクエストが断られる場合は、雇用者は法律による説明をする義務があります。また雇用者は、リクエストがあってから2か月以内に回答する義務があります。
イギリスでのFlexible Working Hoursには、恐らく日本ではあまりみられないものも含まれます。
Part-time working(パートタイム・ワーキング):働く時間数を減らす。働く日数を減らすパターンが多い。日本と違って、同じ仕事内容は同じ賃金なので、Pro rata(プロ ラータ)とよばれるやりかたで、フルタイムで働いているときの時間給を割り出し、それと同じ時間給が支払われます。当然ホリデー等の権利やほかの権利もフルタイム時と同じです。日本のように、パートタイムだから正社員ではない等の区別は存在しません。働くひとの雇用形態はThe UKでは3つで「Employee, Worker, Self-employee」で、決められた時間を同じ雇用主のもとで働くのであれば、働く時間数に関わらず、通常は「Employee(エンプロイー/従業員)」です。
Compressed hours (コンプレスト・アワーズ/圧縮された時間):フルタイムで働く場合と同じ時間数で働くけれど、日数を減らす場合です。たとえば、フルタイムが35時間(7時間/日を週5日)を、35時間(10時間/日を3日プラス5時間を一日等)でこなす等。私自身も勉強していた間、Compressed hoursで働いたこともあるし、多くの友人も働きながら、大学院(大学のパートタイムコースだと週2日大学へ通学が必要な場合も多い)へ行っている間は、このCompressed hoursをよく使っていました。疲れますが、とても便利な制度です。
Flextime(フレックスタイム):仕事始めの時間と、終わりの時間を選択するものです。多くは、Core set of hours(コア・セット オブ アワーズ/中核となる時間)があり、例えば、10時から15時まではコアタイムでオフィスで働いている/在宅で働いている等です。
Job sharing (ジョブ・シェアリング): 例えば、2人が1つの仕事を、時間を分けて行うことです。(例/一日8時間で週5日だと、Aさんは月火、Bさんは水木金働く等)
Staggering hours(スタッガリング・アワーズ)ː 他の働く人とくらべて、違う始業、終業、休み時間がある場合です。これは、サービス業界や製造業界で働いているひとには有用で、家から働くことはできない職種だけれど、様々な事情でフレキシブルに働くことが必要なひとには便利な制度です。
Hybrid working(ハイブリッド・ワーキング)ː働く場所が、あるときはリモート(自宅)、あるときはオフィス等の、物理的に違う場所で働くコンビネーションです。
リクエストの仕方には、Informal(非公式)とFormal(公式)な方法があるのですが、小さな組織だと非公式に話し合いですむ場合もあります。
どちらにしても、あなたのFlexible Working Hoursにより、会社にもなんらかのメリットがあることをアピールすのは、受け入れられる可能性を高くします。
Informal Flexible Working Hours Request(非公式なリクエスト方法)
組織や企業によっては、formal(フォーマル/公式)な手順が必要でない場合もあります。直属の上司に聞いたり、Staff Handbook(スタッフ・ハンドブック)を確認しましょう。
ただ、公式に書面にしなくてよいとしても、リクエストをする際に、どのような形態のフレキシブルワーキングを期待しているのか、どのぐらいの期間なのか、それによって、組織や企業にどのような良い効果があるのかを説明するのはいいアイディアです。
Formal Flexible working request (正式/公式なリクエスト)
労働者は、職業の違い等に関わらず、フレキシブルワーキングアワーズをリクエストする権利があります。
現在の法律では、応募する際に、以下のステップを踏む必要があります。
正式なWritten request(ウリトン・リクエスト/書面でのリクエスト)を雇用主に提出します。この書面でのリクエストには、どのFlexible workingのパターンを希望するのか、開始を希望する日を明記します。もし、以前Flexible Working Hours Requestを行ったことがあれば、いつ行ったかを明記する必要があります。
雇用主は、リクエストを即座に認めることもできますが、通常は、詳細を知るために話し合う場が設けられます。雇用主側は、あなたのリクエストとは違うものを提案するかもしれません。雇用主側は、このミーティングに労働組合の人や、仕事上の同僚等が同席することを許可するかもしれません。
このミーティングの前に、あなたが提案したWorking arrangement(ワーキング・アレンジメント)のタイプの正当性を提供できるリサーチを行いましょう。どのように組織に利益があるのかを特定し、このリクエストが与える潜在的なインパクトについて、どのようにアドレスできるかを考慮しましょう。例えば、特定の時間内にできるタスクや、特定の時間外にできるタスク等、どのようにタスクがティームレベルや、仕事内でカヴァーできるかを考えましょう
あなたが、これらのflexible hours(フレキシブル・アワーズ)のトライアル期間を行う意思があるかを考慮しましょう。もし、それ(トライアル期間)を雇用者がオファーしたら → これは、両者にベネフィットを与えます。なぜならよいところと、チャレンジがあるところとを特定できるからです。話し合いのときにこれらを、雇用者側とコミュニケートしましょう。
話し合いの後、雇用主側は、良い点、チャレンジングな点を検討し、結果をあなたに知らせます。もし、あなたのリクエストを断るのであれば、雇用主側は、どのStatutory reasons(スタチュトリー・リーズンズ/法定上の理由)に準拠して、あなたのリクエストを断ったのかを説明する必要があります。例えば、ビジネスに追加のコストが生じる、他の従業員との仕事を再調整することができない等。
もし、あなたのリクエストが承諾された場合、雇用主側は、通常書面で承諾とFlexible Working Hoursの開始日を知らせます。もし、トライアル期間が合意された場合は、Revuew period(リヴュー・ピリオド/見直し・検討期間)がスケジュールされているかもしれません。